【完】狂犬は欲望中毒。
柔らかく笑う左和季君を見て、からかわれてるのに嬉しくなっちゃう。
「あの時、俺を助けたのが小羽でよかった」
「……っ、でも私の方が左和季君に助けられてるよ?」
「でも、あの時のことがなけりゃ、こんなことになってなかっただろ?」
自虐なのか、それとも本当にそう思ってるのか。
相変わらず左和季君のこと掴めない。
左和季君は簡単に私の心奪うくせに。
さっきだって怖い思いたくさんしたのに……どうしてだろう、左和季君から離れようとか頭にすら浮かばなかったんだよ?
私の隣には左和季君がいて、左和季君の隣に私がいることが当たり前の関係になった今。
もう左和季君を手放すなんてできない。
それが左和季君からのお願いだとしても。
私は左和季君じゃないと嫌だ。
「左和季君はヒーローだね」
「そうか?どっちかっていうと悪役の方だろ俺は」
「全然違うよ、絶対助けてくれるもん」
「それはお前だからだろ」
少し照れた様子の君。
どんな時でも駆けつけてくれるヒーローは
どうやら私限定みたいで嬉しい。
自然と込み上げてきた気持ちに正直になって、左和季君に抱きついた。
「左和季くん、だいすき……っ!」