【完】狂犬は欲望中毒。
「どうせ今日は総長から指示ないだろ?帰るわ」
「随分と帰るのが早いね。」
「まあな。」
なぜかワクワクしてる美喜矢にこれ以上なにも言わず、ヒラヒラと脱力した手を横に振ってコンテナから出る。
小さいコンテナは蛇狼の幹部だけが出入りできる隠れ家になっている。
下っ端の奴等は集合場所があり、そこで待機するかもしくは連絡待ちだ。
停めてある赤色のバイクに跨がり、エンジンをかけ走り出す。
向かう先は、小羽の住むマンション。
あいつと会ったあの日からもう3日が経った。
いつもなら女側からすぐに連絡が来る。
が、あいつは一向に連絡してこない。
焦らされた様に思えたが、そもそも連絡先を知らないことを電話をかけようとしたところで気づいた。
そーいや、連絡先聞いてこない女なんて初めてだな。
あと善意で助けられたのもな。
顔褒められんのは、悪い気はしねーが
大体俺に寄ってくる女なんか、顔目当てが多い。
けど小羽は違った、あいつはマジもんのお人好しだ。
ビクビク怯えてる割には、強気なところもあるし、無理に媚びたりしないつーか。
変な女。
そこが可愛かったりしてな。