【完】狂犬は欲望中毒。
今だって手懐け方を知らない。
自由気ままで、目を離したらすぐどこかへ行っちゃいそうな彼。
たけど、きっと左和季君のことだから
私のこと掻っ攫ってでも一緒に連れていってくれると思うんだ。
だってほら。
繋いだ手がこんなにも暖かいんだもん。
ねぇ、左和季君。
ずっとずっと隣にいてね?
じゃなきゃきっと。
自分の中にある欲望が抑えられなくなっちゃうから。
こんな私を知ったら左和季君はどう思うんだろう。
「どうした?」
「ううん、なんでもなーい」
感じたい彼の体温に目を瞑り。
今日もまた、自分自身に知らない振りをする。
……大好きだよ左和季くん。
【おしまい】