【完】狂犬は欲望中毒。
答えなんてひとつしかないだろ?
結局、渋々俺を部屋にあげることになった小羽は、嫌そうなオーラ全開だ。
この前来た時となんも変わらないワンルームは、シンプルな家具と女の子らしい柄のカーテンやシーツでまったく男が入る隙がない。
俺みたいな男は場違いだな。
改めて思うが
なんだこのフワフワした部屋は、夢の世界か。
「男の影ひとつない女の部屋はやっぱ心配だな。
俺の私物でも置いていくか」
「左和季君って出会った時から私の部屋でやりたい放題だよね」
「もういっそのこと二人で住むか?」
「……」
プイッと顔を横に向け無視する小羽は、冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに注いで俺に渡す。
「悪いな」
「……左和季君って、やっぱ遊び人でしょ?」
「なに、気になんのか?」
「……なんか軽いよさっきから。
左和季君は女の子慣れしてるかもだけど、私は男の子とは何話していいか分かんないし緊張するから……こういう距離の近さって慣れてないの」
「の割には、ちゃんと俺の目見てハッキリと話してくれんだな?」
少し驚いた表情を見せる小羽。
自分でも気づいてなかったってか?