【完】狂犬は欲望中毒。
「……っ、簡単に触れてくるところが軽いの」
「小羽にだけだろ。触ってねーと逃げそうだしな」
「……本当に他の子にもおんなじこと言ってないの?」
「そんなに不安なら俺に首輪でもつけとくか?
逃げねーように、しっかりとつけとけよ。」
掬うように、小羽の両手を自分の首もとに持ってきて触れさせた。
男と女の体はつくりが違う。
骨張った男の体に、男慣れしていない小羽の顔はさっきよりも赤くなる。
「……こんなカッコいい人が私を『気になる』って言った!……ありえない」
「やっぱお前思ったこと全部口に出しちまうタイプだろ」
「だって私だよ?告白だって中2の時以来、一度もされてないんだよ?」
「お前に他の男の影なんて必要ねーよ。俺にだけ好かれてろ。」
ワシャワシャと頭を撫でてやると。
少しだけ警戒心が解けたのか、さっきよりも照れた表情が柔らかい。
……どっちが年上なんだか。
つか。
軽い軽い言われちまったら、そう簡単に迫れねーな。
いや、いい感じに攻めっけどよ。
だって俺だぜ?
こんな可愛い奴目の前にして我慢できるわけねーだろ。