【完】狂犬は欲望中毒。
「あ……あの、起きて、ください」
「……っ」
「わぁ!?ごめんなさい!!」
しゃがみ込んで、恐る恐る彼を揺すってみると。
服越しの傷に触れたのか、痛みで眉をピクリと動かせていた。
怖くなって勢いよく手を離す。
パトカーのサイレント音がどんどんこっちに近づいてきてる。
チラリと男を見ると、私と同い年か上くらいだよね……?
学生服ってことは、未成年で間違いはないんだけど。
「……あー……もう!」
何かヤバイことに巻き込まれたんじゃないかって心配になってきた。
人生何が起こるか分からない。
自分がそうだから変に感情移入しちゃう。
もし無実なのに大きなことに巻き込まれていたら可哀想だと思って。
私は男の脇に手を入れ、肩を抱くと。
少し意識があるのか、何とか立ち上がった男が、私の動きに従うように歩き始めた。