【完】狂犬は欲望中毒。
「可愛い……可愛いんだって私、うへへ」
「浮かれてるとこ悪いが、そういうことが言いたいんじゃなくてだな。
あの男は俺のことが気に入らないから絡んできたわけだ」
「うん?」
「それなのにお前って奴は、俺の名前を呼びながら割り込んできやがって。
いいか?俺の知り合い、もしくは女だって敵に思われてみろ。そんなん俺よりも弱いお前が狙われるのがオチだろ」
「……??」
敵?
狙われる??
左和季君の言ってることの意味が分かんないよ。
「急に絡んできたから見ず知らずの人が、左和季君のことが気に入らないからって、そう執拗に関わってこないと思うけど?」
「……」
「もー、気にしすぎだよ左和季君。
ただの酔っぱらいだって」
呑気に笑いながら左和季君の肩を叩く。
でも、よかった。
左和季君が一方的に、相手にヒドイことしてるんじゃなくて。
そりゃあ、そうだよね。
強引なとこあるけど
なんだかんだ優しいもんね、左和季君。
それに私のこと「可愛い」って言ったし。