【完】狂犬は欲望中毒。
ツゥー、ツゥー、と強制的に会話を終了させられた携帯画面の向こうからは左和季君の声は聞こえてこない。
今から来るって。
準備して待ってろって。
それって、デートってこと!?
えっ、男女がふたりで出掛けるってそういうことだよね??
慌ててクローゼットを開けてみた。
男っ気が見事にない。
スカートなんて一枚も持っていない気がする。
引っ越す前に『どうせ着ないから』って捨てたんだっけ……。
「も~!左和季君急すぎるよ~!!」
泣き言を言いながら、なんとか外に出ても恥ずかしくない格好に着替えた。
それから数分後、携帯が鳴り電話に出ると
左和季君から『おりてこい』の一言。
急いで部屋から出ると、マンション下でバイクに凭れながら私を待っていた左和季君がいた。