【完】狂犬は欲望中毒。
「……左和季君、なんで制服なの」
「あ?あぁ……その辺についてはまた後で話す。」
「……?」
後で話すほどのことなのかな、休みの日に制服姿ってことが。
ちょっと大げさに聞こえる左和季君の言葉にクエスチョンマークを浮かべていると、バイク用のヘルメットが差し出される。
「バイクの後ろ乗れ」
「どこ行くの?」
「いいとこ」
「いいとこ……って」
絶対よくない場所に決まってる。
左和季君が言うんだ、間違いないよ。
「あの……デートじゃないなら帰ります、それじゃあ」
機嫌を損ねないように、とびっきりの笑顔で言ったのに。
またまた肩を掴まれ、一歩前に出そうとしていた足を止められた。
左和季君を見ると、さっきよりもなぜか最高に機嫌がいい。
「へぇー……小羽はデートのつもりで来たんだな?」
「あっ、えっと……てっきりそうだと思ってたんだけど、左和季君はそうじゃないみたいだから……あの、デートじゃないなら帰りたいです……」
「可愛いこと言ってくれるな、お前も。
けど、今からデートじゃ絶対知れない"俺"のこと教えてやるよ」
「これ以上左和季君を知ったら危ない気がするのですが」
「ご名答。
俺のことよーく分かってんのな」