【完】狂犬は欲望中毒。
問答無用とでも言いたげに、左和季君は唐突に私の両脇に手を入れると、そのまま持ち上げる。
「わっ!?……ちょっと左和季君おろして……!」
なにこの体勢恥ずかしい!!
ていうか左和季君、身長高すぎでしょ。
いつもは離れてる目線が、同じくらいに近づいた時。
左和季君の顔が更にちゃんと見えて、あまりのカッコよさに心臓が爆発しちゃうところだった。
えっ、なに。もしかして左和季君芸能人か何か?
雑誌の表紙に載ってても、違和感ないくらい見た目に隙がない……というか、本当に美形だよね、かっこいい。
あからさまに見惚れる私に左和季君が笑う。
「嫌がったり勘違いしたり……こんどは俺の顔見つめて、小羽は忙しいな」
「……っ、見惚れてないよ!」
「誰も『見惚れてる』なんて言ってねーだろ。
自分から墓穴掘ってんな。」
「……」
「つかお前、痩せて見えて意外と柔らかいな。
着痩せするタイプか?」
「左和季くん、それ完全アウトなセクハラだから!
もういや、おろして~!!」
「おっけー、言う通りにしてやるよ」