【完】狂犬は欲望中毒。
見当違いな事を言われ、呆気にとられる。
だが、少しだけ寂しそうな表情を見せられて、可愛いなんて思ってしまう俺も、相当コイツにやられてんな。
「そんなこと誰が言うかよ。」
「え、だってそういう事言う流れだったじゃん」
「俺は『安心できるまで無理矢理にでも俺の傍に置く』って言おうとしたんだ」
言っただろ、逃がさねーって。
敵に狙われたくらいで渋々手放すほど、俺はできた人間じゃないからな。
「おかしいよ左和季君。
そこは漫画やドラマの流れだと、『お前が嫌だったら俺は……お前のために離れる』って言うところじゃないの?」
「言ってほしかったのか?
つか、言う前に言葉遮ったのは小羽だもんな?
『もう関わらないなんて言わないで』だっけ?」
「復唱しないでよ恥ずかしい!!」