【完】狂犬は欲望中毒。
相変わらず小羽を目の敵にする美喜矢。
小羽も小羽で、美喜矢が後ろを向いた瞬間
あっかんべーと舌を出して、見てないのをいいことに挑発してるし。
……仲良くは無理そうだな。
別に俺以外の男と仲良くしなくていいけど。
メンバーに承諾を得たところで、小羽を連れてコンテナから出る。
海が見渡せるコンテナは
足の踏み場が不安定な場所に存在しているせいか、誰も近づいてこようとはしない。
そのおかげで、一気に攻め立てることもできないから
敵は近づこうとはしない。
小羽の手を握り、足元に気を遣いながら歩く。
さすがに男三人に囲まれて、疲れただろうな。
さっきよりも口数が減ってんな。
「……左和季君」
「ん?」
「変な人たちに狙われてるかもしれないってことは分かったけど。
やっぱり……知らない人に護られるのは不安っていうか。
とくに美喜矢さん?だっけ。私あの人怖いから苦手」
「まあな……あいつも意外といいとこはあんだよ。
ただ警戒心が人一倍強いつーか、初対面の奴には大体あんな感じ。
小羽にだけじゃねーから気にすんな」
「でも、どうせ護られるなら左和季君がいい」
「……」
「左和季君だけでいい」