【完】狂犬は欲望中毒。
ギュッと、俺の制服の袖を掴む小羽。
今コイツ、なんつった?
抱いてくださいつったよな??
なに急に可愛いこと言ってくれちゃってんだ。
萌え殺す気か。
「抱く」
「え?」
「あっ、やば。欲望が口をついてでた。
まあ、俺が見えないところでお前になんかあったら困るし、あいつらは見張りとでも思っとけばいい。」
「……」
「護るのは俺だから気にすんな。」
本当は俺だけでよかったんだか。
それだけじゃ不安だなんて、我ながららしくなくて笑えてくる。
俺の袖を握ったままの小羽が、ふと思い出したかの様に首を傾げる。
「……そういえば左和季君。
なんで休みなのに制服なの?」
「まあ、さっきも言ったが暝静に狙われてる身だからな。
俺がひとりになるのを狙って周りをウロチョロしてるんだが、そのことについて土曜の朝から担任に呼ばれてよ」
「先生に?」
「あぁ。学校の周辺を柄の悪い連中がウロついてんのが気になって仕方ねーんだろうな。
そういうの全部俺絡みって分かってっから、よく呼び出しされる」
「左和季君って……先生からの信用ないんだね」
「はあ?ただ単にモテモテなだけだわ。」
「……嫌なモテ方だね」