【完】狂犬は欲望中毒。
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それからしばらくは、左和季君の言う通り
バイトがない日はコンテナで過ごした。
学校からの帰り道。
人目が多い場所を避ける様に狭い道に入れば、路地裏猫の様に左和季君がバイクを停めて待っている。
「……」
「……」
このところ、左和季君がおかしい。
口数が減った。
思い当たるのは……キスされそうになったあの日からなんだけど。
確かに私も最初恥ずかしくておもいっきり目を逸らしちゃったけどさ……。
左和季君が無口だと調子出ないんだよね。
「はぁ。ほぼ毎日、コンテナに仲間でもない奴がいると、落ち着かないよねー」
私とは人ひとり分の距離をとって、ソファに深く座る美喜矢さん。
相変わらずのこの憎まれ口にも慣れてきたところ。
「今日、どうして左和季君いないんですか?」
「総長から呼び出し。てか気安く喋りかけないでくれる?」
慣れてきたせいで、自分から話を振るようにはなった。
それでも美喜矢さんのツンが抜けることはないんだけど。