【完】狂犬は欲望中毒。
もう、左和季君さっきからそればっか。
あれだけ『ひとりになるな』って言ってた左和季君の言葉を無視してひとりで帰った私が悪いのに。
「最近さ、」
「……今日に限ってよく喋るな、お前」
呆れた左和季君の声に眠気なんて感じない。
この部屋に左和季君がいるはずなのに、存在を確かめたくて話しかけてしまう。
左和季君を感じたいんだ。
「……左和季君最近私のこと無視してたから、寂しかったんだよ?」
「無視はしてねーよ。」
「けど、一緒にいるのにあんまり喋ってくれなかったじゃん。
すっごく寂しかったんだからね。」
「……っ」
今日は口がとても素直だ。
恥ずかしがらずに言いたいことが言えた。
だけどやっぱり、多少の照れは数秒後にやってきて。
別に見られている訳でもないのに、シーツで顔を隠そうとすると。
ーーギシリとベッドが軋む音が聞こえた。
瞬きさせた目で真っ直ぐ見ると、なぜか私に覆い被さる左和季君。
目の前にいる左和季君に、胸が今日一番鈍く高鳴った。