ねえ、気づいてよ……
「じゃあ、今度俺に勉強教えに行くって言ってみてよ。なんか、わかるかもよ?」


真剣な目は、すぐにいたずらっぽい笑みに変わる。


「うーん......」


「てか、マジで教えて欲しい。俺、ほんとに勉強ヤバいんだ」


あ、さっきの真剣な目はそれね。


「うん。いいよ。さっきのことを実行するかは、別として」


「ほんと?やった!」


嬉しそうな朝陽くんに私も笑う。


「あ、よかった」


「え?」


「ずっと、顔、強ばってたから」


確かに、笑えてなかったかもしれない。


「ありがとう」


そう笑って、ふと時計を見る。


「あ、もうすぐ電車来る......。私、それで帰るけど、朝陽くんどうする?」


「俺も帰る」


2人1緒に駅まで走る。


「はぁはぁ」


「何とか、間に合ったな」
< 118 / 272 >

この作品をシェア

pagetop