ねえ、気づいてよ……
「おまたせ!」


朝陽くんが、目の前に現れた。


ジーパンにTシャツっていう、ラフな服装で、勉強道具が入っているであろうリュックがまた、無邪気な感じを引き立ててる。


「ごめん、何教えてもらおうか考えてたら、遅れて......」


事前に準備する朝陽くんの律儀さがなんだか面白かった。


「ふふっ。わざわざ準備してくれたの?」


「当たり前じゃん。なかなかないし」


「いつでも、私、暇だよ?」


「嘘つけ。部活は」


「部活が、休みなら」


もう一度2人で笑う。


頭の片隅には、怜が言った言葉が残り続けていたけど。


「よし、行こ」


2人で、少しだけ移動すると、市立の図書館に着いた。


「ねえ、ここ教えて」


2人での勉強は、なんとなんく、安心感があった。
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