ねえ、気づいてよ……
だけど、今日は来てなかった。


ため息をつきたい衝動をグッとこらえる。


しばらく帰り道を二人で歩いていると、朝陽くんが口を開いた。


「ねえ、怜くんと、なんかあった?」


「......なんにも、ないよ」


「嘘」


真っ直ぐな瞳に逆らえなかった。


「ねえ、俺にしない?」


「え?」


笑おうと思ったけど、朝陽くんの顔が、真剣で笑っちゃいけなかった。


「怜くんを、好きでいるのなんてやめて、俺に」


「待って、私、怜が好きなんて一言も......」


「それくらい、見てればわかる」


「そんなの......」


勘違いかもしれないじゃん。


「好きな子の好きな人なんて、簡単にわかるんだよ?」


そう、なのかな......


「ねえ、俺なら、涼音にそんな顔させない」
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