ねえ、気づいてよ……
黙った愛先輩を置いて、怜は練習に戻って行った。


私は話しかけることも出来ずに、ただぼーっと練習を見ていた。


目に映るのは、怜だけなのに。


「ねえ、怜くんって涼音ちゃんのこと好きなの?」


「違いますよ」


そうだったら、どんなにいいか......。


「へぇ、じゃあ、ただの幼馴染なんだ」


「そう、です......」


「ただの幼馴染が、年上にタメ口で、話してるんだ?」


え、なんか、怖い......。


こんな敵意を向けられたのは、初めて。


「呼び捨てにもしちゃって、本当は怜くん嫌がってるんじゃない?」


「え......。」


怜は、そんな人じゃない......。


「怜くんは、そんな人じゃないって思ってる?」


図星で、返事ができなかった。
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