ねえ、気づいてよ……
「落ち着いた?」


そう聞かれて、頷く。


本当に、涙は止まっていた。


「ねえ、朝陽くん」


ひとつだけ、どうしても伝えておきたい。


「楽しかったよ。朝陽くんとの時間。全然、辛くなかった。朝陽くんのおかげで、こんなに元気になれたの」


そう話すと、朝陽くんは太陽みたいな笑顔で笑ってくれた。


「涼音、ありがとう。忘れないで。俺は、いつでも涼音の味方」


「ありがとう。本当に、ありがとう」


私も、笑えた。


「じゃあ、またね」


「ああ。これからは、友達として、よろしくな」


「うん」


バイバイって手を振って、私たちは、別々の方向へと歩き出した。


朝陽くん、いっぱい、楽しかったよ。


優しい言葉と、暖かい言葉と、元気をありがとう。
< 152 / 272 >

この作品をシェア

pagetop