ねえ、気づいてよ……
「涼音」


月曜日の部活終わり、怜との約束の時間。


「一緒に帰ろう」


その言葉がどれだけ私にとって大切か。


「うん」


急いで片付けを終わらせて怜の隣に並ぶ。


家の近くの公園で、ベンチに並んで座ると、小さい頃の自分たちを思い出す。


あの頃は、まだ怜くんって呼んでて、たった一つの歳の違いなんて知らないも同然だった。


「朝陽と、別れたんだろ?」


「聞い、た?」


「ああ」


「そっか」


どこまでも、誠実で優しい人。


「涼音は、良かったのか?」


「うん。もともと、朝陽くんの優しさに、私が漬け込んだみたいなものだったから」


「それ、朝陽も言ってた」


「え?」


「涼音が弱ってるところに、漬け込んだって」


......そんなこと。
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