ねえ、気づいてよ……
「人を信用しすぎよ。......それとも、怜くんだから、かな」


怖い笑みを浮かべた、愛先輩を見ながらさっきの言葉が反芻する。


「本当は怜くん嫌がってるんじゃない?」


あまりにも苦しくて、辛い言葉だった。


「怜......」


助けを求めるように名前を呟くけど、もちろん怜は来なくて。


怜は、私が呼び捨てにするの嫌だった?


確かにただの幼馴染で恋愛対象ともみてない人からの呼び捨てとタメ口なんて、嫌だよね。


「っ......」


私は、気づいてなかった。


この時の決心を勘づいて、満足気に笑っているあい先輩を。
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