ねえ、気づいてよ……
「はー、楽しかった」


「ね。久しぶりにこんな買ったし」


2人の両手には、服の入った紙袋がいっぱい。


「この後、電車だけど大丈夫?無理そうなら、お兄ちゃんに迎えに来てもらってもいいけど......」


「うーん、大丈夫。今なら、人少ない時間だと思うし......」


「オッケー。じゃあ、辛くなったらすぐに言うんだよ?」


「うん」


美奈と一緒に電車に乗ると、中は空いていて、息苦しさは少なかった。


「涼音、平気?」


「うん。だいじょーぶ」


時折声をかけてくれる美奈にそう返したり、2人でたわいない会話をしていると、あっという間に時間は過ぎた。


「じゃあね」


「また学校でー」


手を振って別れると、反対から2人が歩いてくる。


カップルかな。


そう思いながら、すれ違う時になんとなくそっちを見ると、男の人の方は怜だった。
< 188 / 272 >

この作品をシェア

pagetop