ねえ、気づいてよ……
「涼音、顔、上げろ」


恐る恐る怜を見ると、そこには想像と違った怜の顔があった。


「なんで......?」


悲しそうな表情をした、怜がそう呟いた。


「なんで、そんな急に距離置いてんの」


「......。先輩、だもん」


ああ、言っちゃった。


でも、怜が先輩なのは事実。


実は、嫌がってるなんて、やだもん。


あれ、じゃあ、なんでそんなに悲しそうな顔してるの......?


怜は、いやじゃ、ない......?


「誰に、言われた?」


脳内がぐちゃぐちゃになってきた私に向かって、優しく怜が言った。


「愛、先輩に」


何を言われたかなんて、言わなくても伝わってた。


「怜、嫌がってるんじゃない......って」


視界が滲んだ。


頬に温かいものが伝って、すぐにそこが冷たくなる。
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