ねえ、気づいてよ……
「今日はね、おじいちゃんのお見舞いに行ってたの」


「え?」


「私のおじいちゃんね、もう長くないって言われてて」


「......」


そうだったんだ......。


それなのに、私、怜と愛香さんのこと勘違いして、怜のこと疑って。


「だからね、怜くんのこと、婚約者になったよって、伝えたいの」


「どういう、こと、ですか?」


「怜くんと私を許嫁にしたのは、おじいちゃん同士って話したよね?
それで、おじいちゃんに、怜くんが婚約者だよって伝えて、安心して旅立って貰いたいの」


「......っ」


そんなこと言われたら、反対なんてできない。


「それに、お互いにファーストキスの相手だし?」


「え......」


どういうこと?


「ふふっ。ごめんね、驚かせちゃって。でも、怜くんは絶対に涼音ちゃんに言わないだろうし......。
涼音ちゃんも知ってた方がいいかなって」
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