ねえ、気づいてよ……
なんで、キス、したのかな......。


怜は、愛香さんが好きだった?


昔、両想いだったなら、その気持ちが再燃してもおかしくない......。


「さっきも、抱きしめちゃった」


愛香さん、狙って言ってる......。


話してる表情が、勝ち誇ってるみたい。


「さっきもね、落ち込んでる私を慰めてくれてね」


もう、聞きたくないよ。


「怜くんも、抱き締め返してくれたの」


その言葉は、私を地に突き落とすのに十分だった。


「......っ。もう、わかりましたから......」


これを言ったら、後戻りはできない。


言うんだ、言わなきゃ、怜に迷惑が......。


「1回、怜と、話をさせてください......」


逃げた。


まだ、怖いんだ。


怜を、諦めることが。
< 191 / 272 >

この作品をシェア

pagetop