ねえ、気づいてよ……
「怜くん!」


怜を見つけて、立ち止まる私と駆け寄っていく愛香さん。


「愛香、おばさん達、心配してるから」


「うん。怜くんは入らないの?」


なんだか、作られた映像を見ているよう。


私だけ、別の世界にいるみたい。


「俺は、涼音と話したいから」


ちょっとだけ、沈んでいた気持ちが浮かび上がる。


「え、私、1人なの......?」


辛そうな声を愛香さんがあげる。


「今、1人になったら私、おじいちゃんのこと思い出しちゃう......」


「中行けば大人4人いるだろ」


冷たく突き放すけど、愛香さんだって慣れたものだろう。


「だって、お酒ばっかりじゃん......」


「あのなぁ......」


「怜......」


やっと、口が動いた。


「私たちは、いつでも会えるから......ね?」
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