ねえ、気づいてよ……
「私、行きますね」


俺に向かって言った言葉じゃないのがわかってても、敬語で話されるのは思った以上に堪えた。


距離、置かれたみたいで。


「涼音ちゃん!」


あとで電話しようと思ってたのに、愛香が涼音を呼び止めて2人で夜へと消えていく。


それを見ながら、とりあえず家の中に入った。


「おかえり、怜」


「愛香ちゃんは?」


「友達会ったから、先帰ってきた」


親にも、涼音に会ったなんて言えなかった。


自分の部屋に入ると、思うのは2人のことばかり。


いや、愛香が涼音に何を言うのか、涼音が傷つかなきゃいいが。


「涼音......」


やっぱりちゃんと話したくて、外に出て涼音が帰ってくるまで待った。


しばらく待つと、愛香と少し後ろを歩く涼音が見えた。


さすがに仲良く話してる様子はない。
< 201 / 272 >

この作品をシェア

pagetop