ねえ、気づいてよ……
「怜くん!」


俺が涼音の名前を呼ぶ前に愛香が俺の名前を呼んだ。


「愛香、おばさん達、心配してる」


愛香を早く家の中に入れさせるため、そう言った。


「うん。怜くんは、入らないの?」


「俺は、涼音と話したいから」


涼音の方を見ると、少し困ったような顔をしていた。


愛香を中に入れて、涼音と話そうと思ったら、愛香が俺と涼音が2人になるのを阻止しようとしてきた。


なんとか涼音と話そうとしたが、その前に涼音が口を開いた。


「怜......」


怖々と呟かれるような声に、怯んだ。


今までそんな態度、取ったことなかったのに。


「私たちは、いつでも会えるから......ね?」


そう言うと、涼音は手を振って家の中に入ってしまった。


......なんだよ。
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