ねえ、気づいてよ……
「はあ?」


何言ってんだよ。


やっと、やっと、気持ちが揃ったと思ったのに。


「なんで」


涼音を怖がらせるのをわかってても、声は素直に出てしまう。


返ってきた返事は、思いもよらないものだった。


「愛香さんと、幸せにね」


そう言って、涼音は公園から走り去ってしまった。


「涼音!」


慌てて名前を呼んだが、涼音が振り向くことなくて。


「涼音......」


もう一度呼んだその名前は、静かな公園に消えていっただけだった。


愛香と、幸せに......?


許嫁のことは、大丈夫って伝えたはずなのに。


あの時、涼音も納得したと思ったけど、違ったのか。


涼音は、本当は納得してなかった?


念の為、愛香に電話をかけてみることにした。
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