ねえ、気づいてよ……
『そんなっ』


「愛香のじいさんには、俺から話付けとく。じゃあな」


一方的に電話を切ると、すぐに涼音にかける。


「出ねぇ」


何コールしても電話には、出ない。


あとでかけ直すか。


「あとは、病院」


電車の時間を調べて、愛香のじいさんのいる病院へ向かう。


電車に揺られ、窓の外を眺める。


電車を降りて、愛香のじいさんの元へ向かう。


「おお、怜くんか。どうした?」


とても余命宣告をされた人だとは思えないぐらいの元気さ。


「あの、愛香との許嫁の件なんですが......」


「それがどうしたんだ?」


「白紙に、して貰えませんか?
可愛がってもらったのに申し訳ないですが......」


「怜くん。わしが怜くんを可愛がってきたのは、可愛い弟の孫だからであって、愛香の許嫁だからじゃないぞ」
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