ねえ、気づいてよ……
「ん?」


後ろからおおわれる形で、怜が私と同じところを掴む。


「怜?」


「ちょっと、我慢な」


あ、人に囲まれないように、してくれてるんだ。


「......ありがと」


「何が?」


「なんでも」


さり気ない優しさが、嬉しかった。


ご機嫌なまま駅から少し歩いて遊園地に着く。


「人、多いね」


「クリスマスだからな。しかも、土曜日」


「ほんとだ」


子供の声が目立つ。


いいね、なんか。


「何乗る?」


「そりゃ、ジェットコースター」


当たり前のように帰ってきた返事に、私も賛成する。


2人で並びながらずっと話してる。


いつも一緒にいるのに、話って尽きないね。


それからも絶叫系めぐりといわんばかりにジェットコースター類をひたすら乗った。
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