ねえ、気づいてよ……
「......多分、大丈夫だろ」


そんなこと言ってるけど、怜もその子から目を離さない。


「あっ!」


ついにその子がお母さんの手をかいくぐって、車道へ出てしまった。


「危ないっ!」


考えるより先に、身体が動く。


その子の温もりを感じた時、安心感で全身の力が抜けた。


でも、すぐに車のブレーキ音が耳に入った。


この子を抱えて、逃げなきゃ。


でも、身体に力が入らない。


「涼音っ!」


怜が私たちを抱きしめて、歩道へ身を投げる。


無事、だった。


周りに人が集まる。


「おい、男の子の方、やばいぞ」


「女の子として子供は無事だ」


話し声がして、怜を見る。


心臓が、止まるかと思った。


「れいっ!」


怜の頭から、血が流れ出していた。
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