ねえ、気づいてよ……
「れいっ!」


返事がない。


誰かが呼んでくれたようで、救急車がやってきた。


「あ、ママ!」


その子が飛び出したかと思うと、息を切らしたお母さんがいた。


「無事で、良かった......」


涙ぐんだお母さんが私の方を見る。


「......申し訳ございません」


頭を下げられ、困ってしまう。


「そんな、頭をあげてください」


やってきた救急車に、その人も一緒に乗ってくれた。


「ありがとうございます。私一人じゃ、何もわからなかったと思うので......」


「いいえ。命に別状はないって言っていたけれど、もしその子に何かあったら、私がちゃんと謝罪しなくてはならないもの。
それに、お礼もちゃんと言いたいわ」


怜が守ってくれたおかげで、私たちは無事だった。
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