ねえ、気づいてよ……
怜も命に別状はない。


でも、目を覚まさない怜を見て、本当に無事だなんて思えなかった。


「はい......」


「あなたも、この子を救ってくれて、ありがとう。あなたが動いていなかったら、きっと間に合わなかった」


「いえ、それにお母さんが必死に止めてたの、見てました。誰も、悪くないです」


「ありがとう」


救急車から下ろされ、怜は頭を縫うため、手術になった。


その間に、私は怜の両親に電話をかけた。


心配そうな声をしていたけれど、取り乱すことなく、落ち着いて話を聞いてくれた。


「涼音ちゃん!」


「あ、ごめんなさい。怜は、私のために......」


そう、身軽な怜は私が間に入らなければ、あの子を怪我なく救えた。


私が、重荷になったの。


「いいのよ。人を救うためにした怪我なのよ?誰も、悪くないわ」
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