ねえ、気づいてよ……
「......着替えよ」


来ていた服を脱いで、パーカーを閉めると怜の香りでいっぱいになった。


ボトムスの方は着替えられないから、濡れてるけど我慢。


「よし!」


髪をもう一度結び直して、部室を出た。


ボールを洗いに水道へ戻ると1番右の水道に使用禁止の張り紙がしてあった。


なんだか面白くなりながら、1番左の水道でボールを洗った。


グラウンドへ戻ると、怜が半袖でサッカーをしていた。


周りは、みんな長袖で怜1人だけ寒そうに見えて、申し訳なくなってくる。


「ただいまです」


そう言って、洗ったボールを片付けて先輩の元へ戻ると愛先輩は目を丸くした。


「えっ、それ、怜くんの......」


「あ、実は......」


水道のこと、怜が貸してくれたことを話すと愛先輩は顔をしかめて言った。
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