ねえ、気づいてよ……
俺、ドア、閉められたのか?


なんで、突然......。


「涼音、開けろ」


ショックとそんなはずないと思いたい願望が俺の声を低くした。


「イヤ......」


小さいのに、はっきり聞こえた拒絶の声。


「涼音、どうした?」


驚くほど、弱い声が出た。


「ごめん、今は、会いたくない......」


「そうか......。じゃあな」


これ以上涼音に負担をかけたくなくて、寂しい気持ちを抑えながら言った。


「......バカ」


次は、罵倒。


「はあ?」


イラッとすると同時に、本気で心配になってきた。


「なあ、ほんとにどうした?」


「言いたくない」


「涼音!」


ほんとにおかしい。


涼音は、そんな事言わない。


それとも、ずっと我慢してたのか?
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