ねえ、気づいてよ……
「ありがとうございます」


拓馬先輩の優しい言葉に笑ってお礼を言う。


隣にいる怜の怪訝そうな目は、見ないふりをして。


学校に着くと、視線と共に話し声が聞こえてくる。


「怜くんだぁ」


「かっこいいー」


こういう声に混じって絶対聞こえてくるのが


「なんであの子いつも隣にいんのよ」


「なんか、幼なじみなんだってー」


っていう声。


相変わらず、減らないなぁ。


気落ちしながら怜と拓馬先輩と別れる。


「おはよぉ」


「あ、おはよ」


教室について1番に挨拶したのは、花野美奈。


「朝から疲れてるわね。怜先輩の巻き込み事故?」


「言い方......」


「ふふっ、まあ、怜先輩は涼音しか見えてないみたいだけどね」


悪びれもせず、楽しそうに美奈が笑う。
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