ねえ、気づいてよ……
「ごめん、でも、やっぱり、大丈夫じゃない......」


つぶやくように言うと怜は、ふっと笑った。


「やっぱりな」


バレてたみたい。

怜は、ニヤッと笑って私を見た。


そして、服を掴んでいた私の手を握ると、そのまま怜の部屋まで行って、リビングに戻ってきた。


怜と一緒に過ごしていると、怜のスマホが鳴った。


「なんだよ」


このぶっきらぼうな返事の仕方は、怜のお兄ちゃんからの電話かな。


怜のお兄ちゃんは、ここから少し離れたところで一人暮らししてる。


昔は、遅くまで遊んでる怜と私を迎えに来てくれた。


「はぁ?嫌だけど」


うわ、聞いたことないくらい嫌そう。


「涼音1人にしたくねーし。う......。ずりぃぞ」


なんか、説得されてる。


「くそ。わかったよ。行くから」
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