ねえ、気づいてよ……
「うん!」


2人で冷やし中華を食べながら、話す。


「なあ、ずっとあそこにいたのか?」


ソファに視線をやって聞く。


「うん。動けなくて......」


「俺のクッション抱えてたのは?」


そう聞くと、涼音は恥ずかしそうに言った。


「怜の、匂いがして......落ち着くから」


なんとも言えない、幸福感が襲ってきた。


愛おしくて、今この場で気持ちを伝えられたらどんなにいいだろうって。


「そっか」


言う度胸と、勇気のない自分が嫌になる。


結局、どんなに愛おしくても、今の関係が壊れるリスクをどうしても負えない。


でも、日に日に増す涼音への気持ちを一生抑えていられるんだろうか。


あと、5日間、我慢できるのだろうか。
< 68 / 272 >

この作品をシェア

pagetop