ねえ、気づいてよ……
こんなことする人って、申し訳ないけどおじさんとかだと思ってたから。


「お前、許さねぇ」


怜の低い声、普段の優しい話し方とは全然違う、鋭い言葉。


目は、本気で怒っていた。


ちょうど降りる駅で、その男の人は怜に手を引っ張られて、歩く。


怜は、その人から庇うようにして私を怜の前に歩かせてくれる。


「すみません、この人......」


駅の交番に着くと、状況を見ておまわりさんもすぐに察してくれたみたいで当たり前のようにその男の人を追求し始める。


「そいつが悪い。そんなに露出して、触りたくなるに決まってる」


なんで、そんなこと言われなきゃいけないの......。


着たい服、着てただけなのに。


悔しくって、視界がにじんだ。


「はぁ?お前、馬鹿なこと言ってんじゃねーよ」
< 72 / 272 >

この作品をシェア

pagetop