ねえ、気づいてよ……
無理やりにでも、寝かせておけばよかったなぁ、なんて思いながら食べるものを作りに行く。


卵がゆを作ると、怜の部屋に戻る。


「ねえ、怜、無理だけはしないでね」


もちろん、返事なんてない。


「怜が倒れたら、不安だよ......」


怜に届かないのをいいことに、普段言わないことを言ってみる。


起きるまで、ずっとそばにいようと思った。


そして2時間後、もう、足が痺れて感覚がなくなってきた頃、怜が目覚めた。


「ん......」


「怜?」


呼びかけると、グッと抱き寄せられてベッドに引きずり込まれる。


「え?」


何が起きたかなんて、わかんなかった。


気づいたら怜の顔が目の前にあって、こっちを見つめてる。


「涼音......」


寝起きのかすれた声は、私の心臓をドキドキ鼓動させる。
< 82 / 272 >

この作品をシェア

pagetop