ねえ、気づいてよ……
「怜?」


「俺、あ、まだ夢か......」


え、違うけど......。


「夢なら、何しても、いいよな......」


え、私なにされるの?


不思議と身の危険は、感じなかった。


怜がぎゅうって私を抱き寄せる。


ドキドキするけど、怜の香りに安心する。


そして、しばらくすると怜の顔が近づいてきた。


「えっ」


驚きでそんな声が出たと同時に怜がバッと私から離れた。


「あれ、夢じゃ......」


戸惑う怜を見ても、全然気持ちが落ち着かない。


「現実だよ!」


それだけ叫ぶように言って、怜の部屋をでた。


やってしまった......。


自分の部屋に戻って、ひたすら後悔に浸る。


いくらなんでも、叫ばなくっても良かったじゃん。


私のバカ。
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