ねえ、気づいてよ……
〜怜side〜


目覚めたら、涼音がいて、つい引っ張った。


だるさを感じなくて、夢の中なんだなって解釈して、つい出た言葉。


「夢なら、何しても、いいよな......」


ぎゅうっと抱きしめると、安心感に襲われる。


涼音がいるんだっていう、安心感。


涼音に、いつか彼氏が出来てどっか行くんじゃないかって不安に、たまに襲われる。


夢の中でぐらい、涼音を自分のものって、思ってもいいような気がした。


夢じゃ、なかったんだ。


「現実だよ!」


キスを迫った俺に、涼音は泣きそうな、怒ったような顔をして言った。


「涼音......」


いつもは呼べば、嬉しそうな返事が聞こえてくるのにむなしく部屋にこだまするだけだった。
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