ねえ、気づいてよ……
「拓馬」


消毒をした後、絆創膏を貼ると見計らったように怜が来た。


「怜、なーに、心配してきてくれたの?」


茶化すように拓馬先輩が笑う。


「ちげーよ。あいつ、やたら話しかけてくるからにげてきた。」


そう言って指さしてその先を辿ると、女の人が1人。


先輩だった。


「ほんと、なんのために部活来てんだか」


「でも、私一人も困ること多いからいてくれた方が嬉しいかな」


「お前、もうちょっと性格悪くいろよ」


「何言ってるの......」


私には、遠回しに性格いいって言われた気がした。


「ま、涼音がそれでいいならいいけどさ」


「うん」


頭を撫でられて、頬が熱くなるのがわかる。


顔を上げた時には、もう拓馬先輩と一緒に練習へ戻っていた。


ずるい、なぁ。
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