ねえ、気づいてよ……
そうなの、私今泣きそうなの。


視界がぼやけて全然見えない。


「ごめんね。こんな可愛い彼女さんがいるなんて思ってなくて......」


「じゃあ、私たちはもうどっか行くから......」


「じゃあね」


必死に涙を堪えているうちに、女の人達はどこかへ行ってしまった。


「涼音」


優しい声が降ってくる。


「俺が、別の人と遊ぶとでも思った?」


頷く。


怖かった。


怜が、私を置いて別の綺麗な人と遊びに行ったらどうしようって......。


「俺は、涼音しか見てないよ」


涙を掬われて、それ以上は出てこなかった。


「な?」


クリアになった視界で見る怜の顔は、すごく優しくて、やっぱり、大好きだった。


「で、涼音。パーカーとか持ってこなかった?」
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