ねえ、気づいてよ……
「え、うん」


なくてもいられるくらい暑いし、大丈夫だと思うんだけど......。


「これ、着てて」


そう言って、怜は、半袖のパーカーを脱いで私に渡した。


そして、怜は、水着1枚に。


当たり前だけど、上半身が晒される。


細いのに腹筋が割れてて、背中は広くて......。


「男の子、なんだね」


「なに?今頃気づいた?」


ふっと漏れた声に怜が笑って返す。


「うん。今気づいた」


「涼音......。とりあえず、パーカーは着とけよ」


「うん。ありがとう」


ありがたく借りることにしたけど、近くの人の視線が全部怜に集まるの、やだなぁ。


「ねえ、あの人かっこよくない?」


「ほんと、ちょーいいカラダしてるし」


聞こえてくる声に、良くない気持ちが溢れてくる。
< 92 / 272 >

この作品をシェア

pagetop