ねえ、気づいてよ……
トイレが終わって、怜を探しながらフラフラさまよっていた。


「ねえ、可愛いね」


「一緒に遊ぼうよ」


誰か、可愛い人いるのかな。


「ねえ」


肩を掴まれて、びっくりする。


私に、言ってたみたい......。


「え?」


「だーかーら、俺たちと遊ぼうよ」


「嫌です」


「そう言わずに」


なんで引き下がってくれないの。


「ほんとに、やめてください」


そう言うと同時にグッと、腕を引っ張って振りほどく。


「お前!」


怒った声で腕を掴まれて、ビクッとしてしまう。


「つべこべ言わず、こっち来いよ」


もう、反撃する勇気は残っていなかった。


このまま、連れてかれて何されるんだろう......?


怜から、離れちゃダメだったなぁ。
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