ねえ、気づいてよ……
なんとかたどり着いて、抱き抱える。


「よかった......。絶対に、ママのとこに戻ろうね」


泣いているその子に言うと、涙がピタリとやむ。


「うん!」


花が咲いたような笑顔に私も笑いながら、砂浜へと戻る。


でももう、足が限界に近かった。


「涼音!」


正面から怜が来てくれた。


見れば、パーカーは砂浜にほおられていて、なんとなく申し訳なく思ったけど、そんなこと考えてる暇じゃない。


「怜、この子お願い。私、歩くの遅いや」


笑って言うと、怜は頷いて、その後を預かってくれた。


「怜、先行ってて。私、すぐ追いつくから」


「どうかしたか?」


「ううん。大丈夫。早くその子、送り届けてあげて」


そう言うと、怜は頷いた。


「わかった。油断するなよ」
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