ねえ、気づいてよ……
頷くと、怜の背中がどんどん遠ざかって行った。


さあ、どうしよう。


立ってるのも辛いくらい足が痛む。


困ったなぁ。


とりあえず、1歩歩いてみる。


「わっ!」


足がもつれて、よろけてしまった。


それでも歩いているうちについに転んでしまった。


足が着くとはいえ、水面は肩ぐらいまである。


大量の水を飲んでしまった。


苦しい......。


もう一度立ち上がるのも難しくて、とにかく怖い。


私、もう、ダメかも。


怜、ごめんね。


せっかく連れてきてくれたのに、こんなことになって。


「涼音!!」


ついに、幻聴まで聞こえるようになっちゃった。


怜の声がするよ。


「涼音!」


意識を手放す寸前、怜の顔が見えた気がした。
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